文●いちえもん 編集●ハッチ

「戦わなくてもいいRPG」「誰も死なない、やさしいRPG」のコンセプトが特徴の『UNDERTALE(アンダーテイル)』。本作はトビー・フォックスが2015年に手がけたインディーゲームで、愛らしいキャラクターや慈愛に満ちたストーリー、耳に残る名曲などが評価され、現在もなお高い人気を得ている。
UNDERTALEが発売されてから3年後、『DELARUNE(デルタルーン)』と呼ばれる新作が発表。本作はチャプター形式のRPGで、執筆時点ではチャプター3・4(6月5日配信)まで公開されている。Steamでの評価は「圧倒的好評」で、多くのユーザーから好意的な支持を得ている最中だ(執筆時点)。
6月5日、チャプター1~4まで収録されたDELARUNEの製品版が発売された。UNDERTALEファンである筆者は、「待ってました!」とばかりに本作の製品版(Steam)を購入。そこで本稿では、チャプター4までのレビューをお届けする。なお、本作は未完結のため、”途中経過でのレビュー”であることをご留意いただきたい。
『UNDERTALE』の魅力はそのままに、”パラレルストーリー”として復活
UNDERTALEは、人間の子どもがモンスターが暮らす地底の世界(異世界)へ迷い込むという、「不思議の国のアリス」的な話だった。8ビットのドット絵で描かれたビジュアルをはじめ、JRPGの影響を受けたゲーム性、プレイヤーのモラルを問うテーマ、トビー・フォックス氏が作曲したBGMなど、本作に秘められた魅力の数は計り知れない。



そんなUNDERTALEの魅力を継いだ最新作が、DELTARUNEである。前作のエッセンスはそのまま引き継がれているが、あくまで「外伝」や「姉妹編」の位置づけのようだ。
公式サイトによれば、本作は「UNDERTALEのパラレルストーリー」とされている。ただ、UNDERTALEのキャラクターがカメオ出演しているなど、前作とのつながりがまったくないとは言い切れない部分もある。その答えはいつか配信される最終チャプターで判明する……と思われる(隠しルートもありそうだが)。エンディングを迎えるまでの間は、考察を楽しむとしよう。


異世界メインのUNDERTALEと違い、DELTARUNEは現実世界と異世界が舞台となっている。2つの世界を行き来しながらチャプターを進めていく形だ。新チャプターは随時更新されるため、新作のテレビドラマをリアルタイムで見る感覚に近い。
現実世界の住人である”クリス”と”スージィ”、「闇の国(異世界)」の王子である”ラルセイ”の3人は、世界の均衡を乱す「闇の泉」を封じるべく、さまざまな異世界を訪ねることに。異世界での冒険譚に加え、現実世界での日常やクリスの秘密なども描かれ、作中の情報量は前作以上だ。


各チャプターのプレイボリュームは短いものの、起承転結がしっかりしているほか、キャラクターの掘り下げや気になる謎、コミカルなやり取り、心に響くセリフなど、エンディングの期待値を高めてくれる魅力も多く詰まっていた。観る者の好奇心を鷲掴みにし、感情を強く揺り動かすストーリーテリングがとにかく見事なのだ。「文句の付け所がない」とは、まさにこのことを指すのではないだろうか。



なにより、UNDERTALEならではのやさしい雰囲気も印象に残っている。DELTARUNEに登場するキャラクターの多くはほぼ善人だし、敵とされるキャラクターも全然悪く見えない。作品に隠された闇がときどき垣間見えるものの、アメリカの青春映画のような、爽やかなノリがほとんどだった。



UNDERTALEはプレイヤーの行動でシナリオのルートが分岐し、複数あるエンディングのひとつに到達する仕様になっている。つまりマルチエンドだ。一方、DELTARUNEは話の展開が多少変わるぐらいで、チャプターごとのエンディングは1パターンのみ。おそらく、最終チャプターでエンディングが分岐するのではないかと予想している。
ちなみに、公式サイトには「エンディングは1パターンだけ…?」と意味深なメッセージが残されていたが、きっと何か裏があるに違いない。チャプター5以降の配信を楽しみにする理由がひとつ生まれた。

チャプターの選択画面を見ると、DELTARUNEはチャプター7で完結する予定だ。チャプター5以降は無料で配信されるため、本作を早くプレイしたい人は現在配信中の製品版を買っておくといい。逆に、完結した状態でガッツリ遊びたい人は、チャプター7の配信を待つべきだ。
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