文●ハッチ

AMDは2025年5月21日に台北で開催中の世界最大級のIT展示会COMPUTEX 2025にて最新のGPU「Radeon RX 9060 XT」および「Radeon AI PRO R9700」を発表。さらに、ワークステーションやハイエンドデスクトップ向けのCPU「AMD Ryzen Threadripper 9000」シリーズも明らかにした。発表の様子は、YouTubeのアーカイブにて確認できる。
AMDのシニアバイスプレジデント兼コンピューティンググラフィクスグループゼネラルマネージャーであるJack Huynh は、「今回の発表は、製品全体を通じて最先端の技術と価値を業界に提供し続けるという、私たちの姿勢を明確に示すものです。 Radeon RX 9060 XTとRadeon AI PRO R9700は、RDNA 4の高いパフォーマンスとAI機能を、世界中のゲーマーやワークステーションユーザーに届けます。さらに、新たに発表した Ryzen Threadripper 9000 シリーズは、ハイエンドデスクトップおよびプロフェッショナル向けワークステーションにおける、新たなスタンダードを打ち立てる製品です。これらすべてのソリューションは、クリエイター、ゲーマー、そしてプロフェッショナルが限界を超え、創造性を最大限に発揮するための性能と効率性を提供するという、私たちのビジョンを体現しています」と述べた。
Radeon RX 9060 XTが6月5日に発売予定!

Radeon RX 9060 XTは、AMD RDNA 4アーキテクチャーを採用し、AMD FidelityFX Super Resolution4(FSR 4)による機械学習対応のアップスケーリングと、高速なレイトレーシングによって、滑らかで応答性の高い1440pゲーミングを実現するとしている。

Radeon RX 9060 XTは、ビデオメモリーが16GBと8GBのモデルが存在し、16GB版のUSドル価格は349ドルから、8GBは299ドルからとしている。また、各パートナー製品は6月5日に発売する予定としている。
AMD Radeon GPUは2025年3月7日に、RDNA 4世代の最初のGPU、Radeon RX 9070およびRadeon RX 9070 XTが発売された。Ray Acceleratorsが第3世代となり、RDNA 3世代以前の弱点でもあったレイトレーシング性能が大幅に向上。さらに、AI Acceleratorsも第2世代に変更され、AI処理性能も大幅に向上している。
そのうえ、FSR 4によりアップスケーリングの画質も向上。ゲームに依存しないフレーム生成技術「AMD Fluid Motion Frames」(AFMF)は2.1となり、安定性などが向上した。
今回のRadeon RX 9060 XTは、ダイサイズがNavi 44とRadeon RX 9070シリーズのNavi 48よりも小型化。演算に必要なCompute Unit(CU)が32基とRadeon RX 9070 XTの64基、Radeon RX 9070の56基よりも少ない。ピーク時のAI推論性能は821TOPs、ブーストクロックが3.1GHz、TDPが180Wとなっている。


最大で4枚使用して大規模言語モデルにも対応

AIワークステーション向けGPUである「Radeon AI PRO R9700」は、32GB GDDR6のビデオメモリーを搭載。INT4利用時のAI推論性能は1531TOPs、TDPは300Wとなっている。

第2世代のAIアクセラレーターにより、前世代比で最大2倍のスループットを実現。Linux向けにはAMDのAI開発向けキット「ROCm」をフルサポートし、Windows対応も近日提供予定としている。
同社はこのROCmを利用すると、最大で4枚のビデオカードを束ね、巨大なモデルを利用した大規模言語モデルも利用できるとアピールしている。Radeon AI PRO R9700は各パートナーから2025年7月より順次発売される予定で、価格は未定。


ワークステーション向けプロセッサを刷新

AMD Ryzen Threadripper PRO 9000 WXシリーズおよびThreadripper 9000シリーズプロセッサーは、非常に高負荷なマルチスレッド処理に特化して設計されたCPU。
最上位モデルであるRyzen Threadripper PRO 9995WXは、96コア/192スレッドを搭載し、VFX制作、シミュレーション、 AIモデルの開発といった高負荷な用途に最適。最大384MBのL3キャッシュと128 レーンのPCIe 5.0対応により、大規模なデータセットやマルチGPUワークロード、メモリ負荷の高いアプリケーションも効率的に処理するとしている。

AMD Ryzen Threadripper PRO 9000 WXシリーズプロセッサーはDell、HP、Lenovo 、Supermicroなどの大手メーカーおよび各種システムインテグレータを通じて、2025年後半より発売予定とのこと。また、搭載PCは2025年7月より順次発売予定。
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