文●藤田 忠 編集●ハッチ

パーツショップのビデオカードコーナーは、AMD Radeon RX 9070シリーズが発売され、ハイエンドビデオカードの選択肢が増えたものの、売れ行きが好調なのもあり、今もなお寂しい状態となっている。
また、価格を抑えたゲーミングPC自作の定番で人気となっているミドルレンジGPU、GeForce RTX 4060シリーズ搭載ビデオカードは、在庫こそあるが価格上昇が目立っている。そのうえ、そろそろ第1弾アップデートが配信される、販売本数が1000万本突破した『モンスターハンターワイルズ』のプレイを考えると、ビデオメモリ(VRAM)容量が、8GBなのも心許ないところだ。
そんなミドルレンジビデオカードのなかで、注目なのが”5万円前後”、”12GBのVRAM”と、欲しいポイントを押さえているのが、SPARKLE「SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OC」(型番:SB580T-12GOC)になる。


SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OCは、Intelの新世代ミドルレンジGPUである「Arc B580」を搭載したビデオカードで、GeForce RTX 4060と並ぶゲーミングパフォーマンスを発揮する。そのうえ容量12GBのVRAMに、4万円後半~5万円弱の価格帯と、とても魅力的な製品となっている。
Intel Arc GPUは、ドライバー側でフレーム生成してフレームレートを爆上げするAMDの「AFMF(AMD Fluid Motion Frames)」や、NVIDIA「Smooth Motion」といった機能は備えていないが、独自のアップスケーリング、フレーム生成技術の「XeSS/XeSS 2」が利用できる。
また、AMDアップスケーリング、フレーム生成技術の「FSR 3」(AMD FidelityFX Super Resolution 3)も利用でき、解像度やグラフィックスなどは限られるが、カジュアルにゲームを楽しむひとつの選択肢として、十分ありなのだ。
そこで、このIntel Arc B580搭載ビデオカードSPARKLE Intel Arc B580 TITAN OCの実力を、『モンスターハンターワイルズ』のプレイを通して確かめてみた。

ブルーカラーが映える「SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OC」
パフォーマンスの前に、「SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OC」を外観から眺めていこう。












解像度がWQHDのベンチでも60fps超えと快適な結果に
『モンスターハンターワイルズ』をプレイする前に、軽く定番ベンチマークソフトウェア「3DMark」を実行して、Intel Arc B580のパフォーマンスを確認した。
16スレッドCPUのRyzen 7 9700Xを搭載した、AMD Socket AM5環境の自作PCに、SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OCを取り付けてテストした。



テストは、昨今のDirectX 12対応ゲームを想定した「Steel Nomad」、その軽量版でマルチプラットフォーム向けの「Steel Nomad Lite」。DirectX 11ゲーム向けの「Fire Strike」と「Fire Strike Extreme」。レイトレーシング性能は測る「Port Royal」、高負荷のDirectX 12 Ultimateベーステストの「Speed Way」といった6つのプリセットを実行した。


DirectX 11ベースのFire Strikeから見ていこう。テスト解像度が2560×1440ドットになるFire Strike Extremeのスコアは、残念ながら1万台半ばに留まっている。平均フレームレートも負荷の高い”Graphics test 2”だと、60fpsを下回っているがグラフィックス設定次第では、多くのゲームタイトルが楽しめるだろう。
最近のゲームタイトルを想定したDirectX 12ベースのSteel Nomadは、3840×2160ドットでレンダリングされるため、さすがにスコアの伸びはいまひとつになっている。ただ、GPU負荷の高い処理を行わず、レンダリング解像度も2560×1440ドットに下がっているSteel Nomad Lightでは、スコア、フレームレートともに大きく伸ばしている。
レイトレーシングなど、GPU負荷の高いテストプリセットのPort Royalと、Speed Wayは、さすがにミドルレンジGPUのIntel Arc B580では性能不足で、平均フレームレートは20~30fps台に留まっている。
続けて、実ゲームベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー公式ベンチマーク」を実行したので、そのスコアと平均フレームレートをみていこう。
ベンチマークは解像度1920×1080ドット、グラフィック「最高品質」、ダイナミックレゾリューションは未使用で実行した。

スコアは「非常に快適」指標を獲得できる1万5000ポイントを超え、テスト中の平均フレームレートは余裕のある127fpsを記録していたため、快適にゲームをプレイできるようだ。
ベンチマークで快適に狩猟を楽しめる設定を確認
ここからは、SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OCを使って『モンスターハンターワイルズ』のプレイを試していこう。
まずは公式ベンチマークで、快適なプレイを狙えるグラフィック設定を確認してみた。解像度は1920×1080ドット固定で、ベースとなるグラフィック設定は、VRAM12GBが活き、実際に10GB以上が使用される「グラフィックプリセット」の「高」、負荷の高いレイトレーシングは「OFF」とした。
アップスケーリングは「XeSS」のほか、「FSR 3」、フレーム生成(Frame Generation、以下FG)はオフならびにオンを選んで実行した。そのうえで、公式ベンチマークの平均フレームレートをまとめてみた。

©CAPCOM

Intel Arcシリーズのアップスケーリング技術となるXeSSは、フレーム生成に非対応だが、品質をバランスに設定することで、平均フレームレートは60fpsを超えていた。
ただ、アップスケーリングでFSR 3を選ぶとともに、バランス、フレーム生成オンに設定することで、平均フレームレートは90fpsオーバーとなった。アップスケーリングを使うことでグラフィック品質はダウンするが、快適な狩猟を狙えそうだ。
FSR&フレーム生成なら、フルHDで75fps超えと快適!
公式ベンチマークで60fpsを超えたグラフィック設定をベースに、実際に『モンスターハンターワイルズ』をプレイしてみた。
序盤となる「隔ての砂原」のベースキャンプ内(ソロオンライン)を一定ルート移動(100秒前後)した際と、「緋の森」の刺花蜘蛛「ラバラ・バリナ・(下位)」を狩猟(10分弱)した際のフレームレートをみていこう。フレームレートは「CapFrameX 1.7.5 Beta」を使って記録している。

ベースキャンプ移動時のフレームレートから確認すると、公式ベンチマークで60fpsを超えていたXeSS バランス設定でも、60fpsをわずかに切っていた。
公式ベンチマークで60fpsを余裕で超えていたAMD FSR、バランス、フレーム生成オンの設定でも、avgは約80fpsに留まり、min(1% Low avg)にいたっては約40fpsとなっていた。

狩猟時も傾向は同じだが、avgが60fpsを超えたのはAMD FSR、バランス、フレーム生成オン設定のみとなった。min(1% Low avg)はベースキャンプと同じく60fpsに届かないが、30fpsを下回らなかったためか、プレイ感を損なうカクつきはなかった。
川や豪雨、砂荒らしなど、環境にあわせたエフェクトが強いシーンでは、さらにフレームレートは下がると思われるので、フィールドにあわせてグラフィックは調節する必要はあるが、狩猟を十分楽しめる。
5万円前後とお手頃なIntel Arc B580でPCゲームを楽しもう!
Intel Arc B580搭載ビデオカードの「SPARKLE Intel Arc B580 TITAN OC」は、解像度1920×1080ドットでなら、『モンスターハンターワイルズ』を快適と言えるプレイ感で楽しめた。予算5万円前後のビデオカードで、VRAM大食いのモンハンワイルズをプレイするなら、ありと言えるだろう。

ここではモンハンワイルズをメインに試したが、定番人気ゲームタイトルの『Apex Legends』を、解像度1920×1080ドット、高グラフィック設定で144fpsオーバーでプレイできるなど、十分PCゲームを楽しめる性能を備えている点も、忘れてはならないところ。
この春に低コストなゲーミングPCを組もうと考えている人や、既存ビデオカードのグレードアップを考えている人は、選択肢のひとつとしてみておこう。
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