ややフラットながら上質なサウンド
音のチェックは「foobar2000」を使ってハイレゾ楽曲で行なった。サウンドは高音や中高音の伸びはよく、各楽器の音も粒立った、この価格帯では及第点な上質な音質。最近のゲーミングヘッドセットは、FPSでの足音などが聴きやすいように、重低音の派手さは抑えるフラットな調整のものが多いが、「Alienware Proワイヤレス ゲーミング ヘッドセット」も同じような傾向。

決して弱すぎるということはないが、重低音は控えめでフラットな感じだ。たとえば、YOASOBIの「アイドル」の出だしのドンッという低音は、強調が足らずやや物足りない。しかしながら、ロマンシング・サガの「決戦!サルーイン -Final Battle with Saruin-」のような激しいドラム音は、価格帯なりの重低音の響きが出ているので、決して重低音もダメということはない。
筆者は普段使いにSteelSeriesの「Arctis Nova 5」を使っているが、重低音はそれと同じか気持ち強いくらい。
一方で、クラッシックでヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲などでは、ヴァイオリンの高音が綺麗にクリアに聴こえて非常に軽やかだ。ヘビメタのような激しいロック調には向かないが、高い声が特徴の女性ボーカルのポップ、ヴァイオリンやピアノの伸びのある高音と低音を楽しむには向くといった印象だ。
Dolby Atmosについては、Dolby Accessの試遊サウンドで確認。音の定位感ははっきりと感じられ3D立体感も十分に得られる。

PlayStation 5で試したところ、3Dオーディオで音の位置もきちんと感じられるが、やはりフラットな感じは拭えず、『アーマード・コアVI』の爆発音などは迫力に欠ける。FPSで足音などのディティールを聞き分けたい人には向くのかもしれないが、銃撃や爆撃の迫力を重視する人には、少しだけ物足りないかもしれない。
10mほど離れても接続性を維持と優秀
筆者は数多くUSBドングルで接続するイヤホンやヘッドホンを試しているが、音質以外で気になる点として接続性の高さも気にしている。もちろん、環境にもよるが筆者の自宅は戸建てで、1階に部屋があり2階がリビングになっている。トイレは1階と2階に両方ある。
普段使いのありそうなシチュエーションとしては、ヘッドホンでウェブラジオなどを聞いてい続けたかったが、我慢できずにトイレに入る、2階のリビングに飲み物を取りに行く。その間の短い時間でも途切れないで接続していて欲しい、といったことはないだろうか。
そこで、実際に「Alienware Proワイヤレス ゲーミング ヘッドセット」でYouTube動画の音を聞きながら、1階のトイレと2階のリビングに移動した。1階では自分の部屋とトイレの扉を閉めても、ややノイズが入ったものの音は切れずに維持し続けた。
また、2階に上がってもよりノイズが激しくなり、声が聞きづらいこともあったが、接続が完全に切れることはなく、筆者が今まで試したなかでは最も優秀だったLogicoolのLIGHTSPEED接続に対応した製品に近い性能を見せた。
たとえば、SonyのINZONE Budsは、トイレに入っただけで接続は途切れたし、2階にまで電波が届かない。
SteelSeriesのArctis Nova 5は、1階トイレでの接続性は保てたが、直線距離で10m以上離れた2階に行くと、時々接続性が途切れたので、「Alienware Proワイヤレス ゲーミング ヘッドセット」のUSBドングルとの接続性は、割と高いと言えるだろう。
USB Type-C接続で携帯ゲーム機にも◎
また、ここ最近はWindows搭載のゲーム機型PCや、Androidゲーム機のラインアップも増えている。徐々に増えているが、USBドングルは未だにUSB Type-Aというメーカーもいるなか、USB Type-Cになっているので、USB Type-Aポートのないモバイルゲーム機には直接挿せるのも地味に嬉しい。

Nintendo SwitchなどUSBドングル非対応のゲーム機はBluetoothで接続し、2.4GHzが使えるWindowsやAndroidデバイスには、ドングルを挿してマルチに使うといった人にもオススメだ。
接続方法も豊富で、上質なサウンドも好適
「Alienware Proワイヤレス ゲーミング ヘッドセット」は2.4GHz、Bluetooth、USBケーブルの3つの接続方法で、マルチに使える高音質なヘッドセットだ。

柔らかいレザーレットを採用したイヤークッションは、好みによるが遮音性は高く、付け心地も良い。シックで落ち着きのあるデザインとグラフェンコーティングによる光沢は、高級感もある。
ただし、サウンドのカスタマイズは、同社のAlienwareシリーズのPCにはプリインストールされている「Alienware Command Center」でしか行えない。「Alienware Command Center」が使えなければ、ANCのレベル調整や、サイドトーン、バッテリーセーバー、スリープモードのタイマー設定ができないので、AlienwareのPCを持っていない人以外は、そうした機能がフル活用できないのは残念。
イコライザーで音質を変更したいだけなら、SteelSeriesの「SteelSeries GG」にあるSoner機能なら、どのヘッドセットにも適用できるので、そうした汎用性のあるソフトウェアを使用したい。また、LDACには対応していないため、無線でハイレゾ再生はできない。

そうした弱点はあるものの、2万円を切る価格としては十分なスペック。被膜が非常に硬く、水弾きも良く、汚れを落とす洗剤にも負けないグラフェンコーティング対応という点は強み。
筆者が使ている「Arctis Nova 5」などよりも耐久性は高く、清潔感を保ちたいため頻繁に汚れを拭き落したい、といった綺麗好きの人にも向くと思われる。そうしたメリットに魅力を感じた人は、購入の検討をしてみてはいかがだろうか?
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