文●藤田忠 編集●ハッチ
ホラーゲームの金字塔として多くのファンおり、映画化などもされている「サイレントヒル」シリーズ。その第2作目で多くのプレイヤーから、シリーズ最高傑作との評価を受ける『SILENT HILL 2』のリメイク版が、10月8日、23年の歳月を経て、ついに発売された。
発売からすでに1週間以上、全エンディングクリアーを目指して、周回している人も多いだろう『SILENT HILL 2』だが、筆者愛用ポータブルゲーミングPCのASUS「ROG Ally(RC71L-Z1E512)」でも、そのプレイを試してみた。


ROG Allyでのプレイは……駄目かも
10月6日のアーリーアクセス開始とともに、ROG Allyに『SILENT HILL 2』をインストールしてプレイをスタートしたのだが、プレイ開始とともに、”アレ? 霧がない?”、”屋内が妙に明るい”と、予想に反したプレイ感に。?な状態なままプレイを進めたのだが、かなりの頻度で発生するスタッタリング(通称カクつき)と、やはりおかしいと、Radeon RX 7800 XTを搭載したパソコンでプレイしたほか、グラフィック設定を確認してみることに。
結果「ROG Ally」(Ryzen Z1シリーズ)で固有の現象のようで、霧に関しては、「ROG Ally X」でも同じように霧の描画がほとんどない画面になってしまうようだ。さらに明かりの少ないシーンにもかかわらず、隅々まで見渡せてしまうなどの表現はレイトレーシングの影響のようで、レイトレーシングを”オン”することで解消した。
とは言え、サイレントヒル=霧が立ち込めており、一瞬で目の前の人が見えなくなるなどの雰囲気が大事になる。初回プレイはグラフィックスカードを搭載したパソコンや、PlayStation 5でのプレイ、またはいずれかの環境とROG Allyを組み合わせたリモートプレイがおすすめだ。



そのほかプレイ動画の配信などを確認した感じだと、同じポータブルゲーミングPCのSteam Deckでは霧の表現は、しっかりと行われていたが、Ryzen 8000シリーズなどのRyzen APUでは、ROG Allyと同じく霧が描かれてなかった。
続いて、ROG Allyでのレイトレーシング オフとオンの状態だ。ROG Allyで『SILENT HILL 2』の雰囲気を大事にしたプレイを楽しむなら、レイトレーシングを効かせるのは必須と言えるだろう。





最適化不足と思われるスタッタリングの発生は、ROG Allyに限った現象ではないが、ROG Ally(Ryzen APUも……)での『SILENT HILL 2』プレイには、”霧の表現がない”という妥協が必要になる。今後のGPUドライバー、ゲームアップデートに期待したいところだ。
レイトレーシングでの負荷アップが厳しい
描画に関しての、あれこれはひとまず横に置いておき、ここからはフレームレートを確認していこう。計測は序盤街中の一定ルートを120秒前後移動した際を「CapFrame X」で記録している。
Radeon Super Resolution(RSR)などのフレームレートを向上させるRadeonの機能は、すべて無効にしているほか、ゲーム内画質設定は「レンダリング品質プリセット:カスタム」、「詳細なクオリティ設定 詳細な品質プリセット:低」、「スーパーサンプリング:FSR 3」、「FSR 3.0プリセット:バランス」に設定した。解像度は1080p、900p、720p(いずれも全画面)で、「レイトレーシング」は「オフ」と「オン」の両方で計測を行った。

どうしてもスタッタリングが発生するため、Min(1%)のフレームレートはいずれの解像度でも数fps~10fps台を記録している。レイトレーシングを効かせると、720pでどうにか30fps台を記録できているので、AMD Fluid Motion Frames(AFMF)を効かせて、建物内で60fps前後、街中移動で30fps~60fpsといったところだろう。

実際に各種画質設定はそのままに、720p、レイトレーシング:オン、AFMF有効の状態でプレイした際の、フレームレートをAMD Software:Adrenalin Editionのロギング機能を使って記録した結果(30分間を抽出)が以下だ。

何度かロードなどを行っているので、100fps超えのフレームレートが出ていたり、スタッタリングで20fps台にまでガクッと落ち込んだりしているが、平均フレームレートは約55fpsとなっている。実際、推移の大半で50fps台を維持できている。霧の描画を妥協できるなら、プレイ感はまずまずと言える。
「Lossless Scaling」で快適プレイ
AFMFに続いて、ポータブルゲーミングPCをはじめ、GPUの性能がちょっと足りないときの強い味方となるアップスケーリング、フレーム生成アプリ「Lossless Scaling」を試していこう。

「Lossless Scaling」は、フレーム生成「LSFG 2.3」の3倍モードに設定してプレイした。「Lossless Scaling」を効かせている際は、フレームレートの記録が行えないので、実プレイ感になるが60fps超えで推移し、AFMFでのプレイ時よりも滑らかに感じた。

iniファイル改変でFSR 3.0フレームレート生成が有効に!
『SILENT HILL 2』も、30fps固定となっているゲーム内ムービーのフレームレート解除や、21:9ウルトラワイドディスプレーに対応させるお馴染みのModが、さっそく登場している訳だが、実はゲームインストール先フォルダーにある”ini”ファイルに追記することで、FSR 3.0フレーム生成を効かせることが可能になっている。
もちろん、正式にサポートされてないのには訳があり、ゴーストが発生するなど、プレイに支障をきたすこともある。ゲームの改造なので、すべて自己責任であり、今後のアップデートで対策される可能性もある。また、ここでは設定方法の詳細は控えさせてもらう。自己責任を理解したうえで、試してみたい人は、「SILENT HILL 2 FSR Frame Generation」などで検索してもらいたい。

まずは、最初のフレームレート計測テストと同じ条件で記録すると、フレームレートは6~7割近くもアップし、1080pでも30fps超えを記録した。Min(1%)は変わらずだが、FSR 3.0 フレーム生成の効果は抜群だ。

解像度は720pのままだが、「詳細なクオリティ設定 詳細な品質プリセット」を「中」に変更したほか、実際のゲームプレイに合わせてHYPR-RXを有効にした状態でプレイしてみた。これまでと同じく、フレームレートはAMD Software:Adrenalin Editionのロギング機能で記録し、約30分間のフレームレートを抽出した。


最小40fps台、最大160fps台と、かなり上下しているが、おおむね90~100fps台のフレームレートで推移している。解像度を900pにしてのプレイも十分に楽しむことができそうだ。ゲームを改造してのプレイになるので、おすすめはできないが、その効果は抜群だ。

ROG Allyは2周目以降で活躍かも
ROG Allyでどうにかプレイできた訳だが、やはりサイレントヒルに”霧”は欠かせない要素だと感じる。メインはパソコンで楽しみ、屋内探索ではROG Allyでもプレイといったことも、現状『SILENT HILL 2』はSteamクラウドへの保存に非対応なので、セーブデータの共有も、ひと手間必要になる。

フレームレートはAFMFを活用することで、720p、30fps超えを維持できるが、”霧”に関してはどうしようもない。オリジナル版未プレイの人は尚更だが、まずはパソコンまたはPS5で『SILENT HILL 2』の世界を楽しんで、全エンディングコンプを目指した周回プレイは、ROG Allyでといったスタイルが良いかも知れない。
コメント
コメント一覧 (3件)
[…] HILL 2』(参考記事:https://leveluplogy.jp/archives/10169)は、残念ながらポータブルゲーミングPCのASUS「ROG […]
もう解決済みかもしれませんが、こちらの動画(https://www.youtube.com/watch?v=3aspmvhmrVo&t=185s)を参考にして、d3d12 proxyのファイルを導入することで
屋内のライティングや濃い霧の表現がちゃんとしたものになりました(自分の端末はAYANEO AIR 1Sの方になりますが)
https://x.com/surikaji3/status/1850903239782469671
それと、最新のパッチ(1.05)でクラウドセーブにも対応するようになりました
情報ありがとうございます。担当したライターさんに共有致します。