文●ハッチ

中国Game Scienceが2024年8月20日に発売を予定している『Black Myth: Wukong(黒神話:悟空)』は、中国古典小説の「四大奇書」の1つである「西遊記」を題材としたアクションRPG。プレイヤーは「天命人」(孫悟空)となり、多種多様なYaoguaiとの戦闘を繰り広げる。
本作の発売に先駆け2024年6月27日よりメディア向け先行体験会が実施。筆者は7月1日にデモを体験してきたので、本作がどのようなゲームだったのかをご紹介したい。
広大なフィールを探索しながら進む
Black Myth: Wukongでは、「西遊記」のその後を描いたストーリーが展開する。ゲームの開始画面は地面に置かれた桃があり、最初からゲームを始めるとシーンが切り替わることなく、その画面からシームレスにゲーム本編が始まった。こういったさり気ない演出にもセンスを感じる。
西遊記というと、日本の古いドラマやアニメの影響から砂だらけのシルクロードを旅するイメージがあるが、本作冒頭のチャプターでは緑生い茂った山の中から始まる。
Unreal Engine 5で描かれた美麗で広大なフィールドでは、素材を採取したり、宝箱を開いたり、壺を割って素材を得たりと、RPGのような要素もある。各所にある祠堂のような場所では、悟空は自分の毛をお香に変えて立てる。そうすることで、死んだらそのお香を立てた場所で復活する。

その祠堂のような場所は、セーブポイントになるだけでなく、体力の回復&アイテムの補充(これを選ぶとボス以外の敵が復活する)。他の祠堂へとフェストトラベルしたり、任意にセーブができたりする。
レイトレーシングやNVIDIA DLSS 3.5に対応
同社によると、本作はNVIDIAの協力を得て、リアルタイムレイトレーシングやDLSS 3.5などに対応。川に映る木々やキャラクターの動きは写実的で、霧が立ち込める山道は静謐な雰囲気すらある。ただし、試遊したのは未だテストバージョンのため、時折カク付くシーンもあるとのことで、フレームレートのチェックなどはできなかった。
しかしながら、用意されていたGeForce RTX 4080搭載というPCでは、解像度が4K(3840×2160ドット)でレイトレーシングとDLSSを有効にし、60fps以上は余裕で出ているような動きをしていた。そのため、解像度や画質設定次第では、ミドルクラスのビデオカードでも十分に快適に遊べそうだ。
時には敵を倒さず進むのもアリ
孫悟空の武器はもちろん“如意棒”。弱攻撃を連打してコンボ攻撃、強攻撃も混ぜたり、強攻撃の長押しでより強力な攻撃を仕掛けたり、ジャンプに回避ができる。防御はないが、一部弓を使う敵の矢は、タイミングよく攻撃することで弾き落せる。
画面左の瓢箪が回復アイテムで、使うと瓢箪の中身が減っていく。きちんと数えていないが、テストプレイ時では3、4回は使えた。敵を倒して得られる素材などで増えたりはせず、祠堂に行って補充するか、死んで祠堂に戻ると最大まで増える。
そのため、基本雑魚敵を倒して進みボス前で祠堂でアイテムを補充、そしてまた雑魚敵を倒して進みを繰り返す。筆者は最初、雑魚敵を全て倒して進んでいたが、倒さなくても問題なく進める。たまに、かなり体力のある敵もいるので、全員倒して進むのは大変だ。
特に本作はソウル系までとは言わないが歯ごたえのある、いわゆる死にゲーなので、ボスまでの道中では、あまり体力を使いたくない。祠堂とボスまでの間に少し距離がある場合などは、雑魚敵は無視して進むといった選択肢も時には必要だろう。
スタミナには注意が必要
Black Myth: Wukongの敵であるYaoguaiは、日本で言うところの妖怪。日本の妖怪でも似たようなのがいる、と思われる大型のボスが多数存在し、孫悟空に襲い掛かってくる。

本作では防御がないため、亀のように防御を固める訳にはいかない。ボスからの攻撃は距離を取ったり、回避をしたりする必要がある。本作ではダッシュでスタミナが減らないので、最初まったく意識していなかったが、回避や攻撃をすることでスタミナが減る。
そのため、ボスの連撃を何も考えず回避ボタンを押しまくると、スタミナがなく回避が続かず被弾するなんてことも。また、コンボ攻撃を調子に乗って続けていると、スタミナがなくなり攻撃が続かず、回避もできなくなる。
なので、敵の隙ができるタイミングを見計らって攻撃を仕掛け、連撃は最小限の回避で済ませる、といった必要がある。まあ、この手のアクションゲームでは当たり前のことなのだが、その当たり前が非情に重要だ。
回避時間は割と短めなので、攻撃が来そうというところで回避を始めるとモロに喰らってしまう。たまに、モーションが大きくていつ攻撃が来るか分からない敵や、ノーモーションから突進してくる攻撃などもあり、慣れるまでは何度か死んでしまうことも。
しかしながら、何度も対戦することで、攻撃の癖が分かり、かわせなかった攻撃がかわせるようになり、気づいたら倒している、といったトライ&エラーの繰り返しによる中毒性は、この手のゲームならではの楽しさになっている。

加えて、回避のタイミングがばっちりな場合はジャスト回避となり、孫悟空が残像を残して高速移動するような演出で回避する。狙うのはなかなかシビアだが、この手のアクションゲームがそれほど得意でもない筆者でも何度も出せたので、アクションゲームが得意、という人はジャスト回避を狙ってスタイリッシュに戦う戦闘にチャレンジするのもアリだろう。
特に本作では、戦闘中に獲得した法力というエネルギーを消費して使える“天賦”という特殊技が用意されている。敵の動きを止めたり、変身して一定時間属性攻撃をしたり、といった敵との戦いを有利にするものばかり。倒せなかった敵も、この天賦を駆使するとあっさり倒せることもあるので、こうした要素も魅力の1つだと感じた。

クラフトや育成要素なども備えている
また、本作では素材を使って武器や防具の強化も可能な、RPG的な要素もある。さらに、攻撃の威力を上げたり、回避時のスタミナを減らすなど、孫悟空の能力を強化する育成要素もある。
フィールドも完全なる1本道ではなく、いくつかに枝分かれしているため、超強力な敵は無視して別のルートから進める。そのため、ボスが倒せないときは孫悟空を強化して挑めば良いようなので、この手の死にゲーが苦手という人でも安心だろう。
実際に筆者は、倒さないと先に進めないボスだと思って、頭のデカい巨大な敵に何度も瞬時に倒せれたところ、スタッフにその敵は強すぎるので倒すのは難しい、別の道に進んでください、と誘導された。どうやら、理不尽な敵も配置されているようなので、カットムービーが入らないボス以外の強敵はスルーするのもアリなようだ。

ただし、難易度変更は用意されておらず、どの程度の難易度で調整するのか、という質問にはソウルライク系よりは難しくないレベルという回答を得た。育成要素もあるため、ソウルライク系は挫折したが、歯応えのあるアクションにも触れてみたい、といった人にはちょうど良いかもしれない。
ちなみに、筆者はこの試遊で用意されていたレイトレーシング対応版のボスはすべて倒し、時間が残ったためおよそクリアまで2時間というバージョンもプレイさせて貰ったが、とあるボスのある状態が倒せず、そこでコントローラーを置いた。
後で聞いたところ、今回のボスの中で最も強い敵だったとのこと。製品版でリベンジしたいところだ。
爽快感のある如意棒アクションは秀逸
本作は西遊記を題材に、独自のストーリーが展開。中国の歴史的なファンタジー要素もある美麗なグラフィックスの世界を旅して、個性的な妖怪と戦う歯応えのあるアクションRPGに仕上がっている。
孫悟空という日本人にも馴染みのある主人公の使う杖術と、徐々に増えていく天賦の組み合せで、倒せなかったボスを倒せた時の達成感もある。一般的なこの手のアクションゲームでは剣や槍、鎌などの刃物で戦うことが多いが、本作では西遊記がテーマということで、孫悟空が主人公で武器は如意棒。くるくる回転させながら連撃を加えたり、遠い間合いから突き、ジャンプして叩きつけたりと、杖術に通ずる独特な戦闘スタイルはスタイリッシュで爽快感がある。

特にジャスト回避で敵の裏に回り込みながら、連撃を叩き込むといった本作ならではのアクションは、思うように決まるようになると癖になる面白さがある。プレイし続けることで、そうした本作ならではの魅力に引き付けられるだろう。
対応プラットフォームは、PlayStation 5とPC(Steam)で、高解像度ではそこそこ高い性能が求められるが、DLSS 3.5に対応しているとのことなので、PCユーザーはできればDLSS 3.5の機能をフルに使える最新のGeForce RTX 4000シリーズのビデオカードを搭載したPCを用意しておきたい。おそらく搭載PCが20万円を切るRTX 4060でもフルHDなら、レイトレーシングを使って快適にプレイできるだろう。
その美麗なグラフィックスでも注目を集める本作だが、死にゲー好きだけでなく、孫悟空という馴染みのある主人公を操作して、歯応えるのある敵との戦いを楽しみたい人は、今後の情報にも要注目だ。
【ゲーム情報】
タイトル: Black Myth: Wukong (黒神話:悟空)
ディベロッパー/パブリッシャー: Game Science
ジャンル: アクションRPG
プラットフォーム: PlayStation 5, Xbox Series X|S,
PC(SteamおよびEpic Games Store経由)
発売日: デジタル版: PC, PS5- 2024年8月20日
Xbox Series X|S- 未定
レーティング: レーティング申請中
コメント