既存のAndroidゲーム機よりは高性能
さて、では最後に気になる性能をチェックしていきたい。比較用に筆者の私物であるROG Phone 8 Proと、Razer Edge、GPD XPを用意した。最新のゲーミングスマートフォンであるROG Phone 8 Proにどの程度迫れるのか、またやや型古な同じようなコンセプトのAndroidゲーム機と比べ、後継機としてどれほど高い性能を発揮するのかが争点となる。
計測は3回行った平均値を示す。AYANEO Pockt Sだけは、いずれも可能な限り平均かするようにサンワサプライのスマホクーラー「400-CLN027」で冷却したのちのコールドスタートに近い環境で測定している。
比較機と主なスペック

さて、まずは定番のAnTuTu Bnechmarkの結果から見てみよう。


ROG Phone 8 Proは、現在Android搭載のスマートフォンの中ではトップクラスの性能であるため、AYANEO Pocket Sよりも約1.38倍ほどスコアが高い。しかしながら、AYANEO Pocket Sのスコアは同コンセプトのRazer Edgeよりも約1.78倍、GPD XPに至っては4倍以上となっている。
内訳のスコア傾向はキレイに段々になっているが、特にGPUの差が大きい。AYANEO Pocket SはROG Phone 8 Proには劣っているが、スコアがRazer EdgeよりもGPU性能で倍以上、GPD XPからは8倍以上と高い数値を示している。
次にマルチプラットフォームで動作するベンチマークソフト「Geekbench 6」の「CPU benchmark」でスコアを測定した。

AYANEO Pocket Sのマルチコアのスコアは、ROG Phone 8 Proの方が約1.4倍高い。一方、Razer Edgeよりは1.48倍と勝っている。いずれもオクタコアであるため、シングルコアのスコアがそのままマルチコアのスコア差に現れたといった感じ。
GPU性能を、まずは「Geekbench 6」の「GPU benchmark」で確認する。計測は古くからAndroidゲームにも使われているグラフィックAPI「OpenCL」と、OpenCLより新しい世代のグラフィックスAPI「Vulkan」の両方で実施した。

Valkanのスコアは、ROG Phone 8 Proの方が約1.3倍高いが、AnTuTu Benchmarkの内訳のGPUスコア差ほどはない。OpenGLのスコアはROG Phone 8 Proの方が約1.2倍高いが、Razer Edgeよりは約2.6倍、GPD XPからは約6.1倍ほど高い。
Razer EdgeとGPD XPという2機種のやや性能の低いデバイスは、GPUが次世代APIのVulkanを上手く扱えず、AYANEO Pocket SはよりVulaknを扱えていると考えて良いのかもしれない。
今度はPCのGPU性能検証ではお馴染みの3DMarkでの測定結果で比較したい。3DMarkでは、マルチプラットフォームに対応し、解像度が3840×2160ドットの4Kとなっている「Wild Life Extreme」と、同じくマルチプラットフォーム向けで中負荷のDirectX 12テスト「Steel Nomad Light」、レイトレーシングテストの「Solar Bay」で測定した。
通常の「Wiled Life」は、ROG Phone 8 ProとAYANEO Pocket Sのスコアが最大値を超えて計測不能となるMaxed Out!になるため、図版に入れなかった。

「Wild Life Extreme」のスコアは、ROG Phone 8 Proの方が約1.33倍が高く、Geekbench 6のVulkanのスコア差に近い傾向が出た。また、Steel Nomad LightはROG Phone 8 Proの方が約1.45倍。そのうえ、レイトレーシング対応のSolar Bayは約1.57倍のスコア差を付けられる結果になった。
割と高性能スマートフォンとの差はあるが、一方「Wild Life Extreme」ではRazer Edgeより約2.46倍、GPD XPからは10倍という圧倒的なスコア差を付けている。ゲームによっては、かなり優位に立ちそうだ。
ストレージの性能はAnTuTu Storage Testで計測してみた。

ストレージの規格はROG Phone 8 ProとAYANEO Pocket Sは同じUFS 4.0にも関わらず、ROG Phone 8 Proの方が約1.6倍高いスコアを示した。ストレージは容量が多いと、その分速度低下は少なくなるが、それにしてもスコア差が大きい気がする。
速度の内訳を確認すると、シーケンシャルリードとシーケンシャルライトに大きな差はないが、ランダムアクセスで倍以上の差が付いていた。熱処理の問題か、CPU性能やメモリの容量の差も影響しているのかもしれない。ただし、Razer Edgeよりは約2.3倍、GPD XPよりは5.6倍のスコア差を付けている。
そこで今度はPC用のCrystalDiskMarkのように計測できると言われて、使われているCPDT Benchmarkでもチェックしてみた。CPDT Benchmarkでは項目により数値に差が出過ぎていて、グラフ化すると見づらいので各結果の画像を示したい。そのため、この結果は3回の平均ではなく、最も高いスコアを示したものを採用した。




CPDT Benchmarkはたまに以上の数値の跳ね方をすることもあり、やや数値に安定性がないのが少し気になる。たとえば、今回示した結果ではAYANEO Pocket SのランダムライトがROG Phone 8 Proのそれよりも3倍以上の速度を見せているが、何度かの測定によっては逆転することもある。
多少のブレはあるものの、数値の示す速度差があるとするならば、ゲームの読み込み速度にも多少は影響があると考えてよいだろう。
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