CPU&GPU性能、両方とも大幅アップ!
では、実際に性能はどの程度なのか、基本的なベンチマークソフトや、PCゲームのフレームレートで確認したい。検証時点でのWindows 11のバージョンは23H2で、AMDのドライババージョンは24.3.1。
また、性能をより引き出すために、BIOSの設定でPerfomance Modeを有効にして計測している。


シングルコアのスコアは約1.45倍も差を付けた!
まずは3DCG作成アプリ「Cinema 4D」のレンダリングエンジンを用いる定番のベンチマークソフト「CINEBENCH」にてCPUの処理能力を計測する。CINEBENCHの最新バージョンは、「Cinebench 2024」だが、DeskMini X300に搭載するRyzen 7 PRO 4750Gは対応しておらずエラーとなったため、1つ前のCINEBENCH R23で比較する。

DeskMini X600に搭載したRyzen 5 8600Gは、シングルコアのスコアで約1.45倍ほどRyzen 7 PRO 4750Gを圧倒する。APUでは2世代前とはいえ、よりコア数の多いRyzen 7にここまで差を付けているのは、Ryzen 7000シリーズからチップセットが変わり、メモリもDDR5になっていることも大きいだろう。
ちなみにDeskMini X600のみ最新のCinbenech 2024で計測した結果は以下のとおり。

末尾にGの付くAPUは、内蔵GPUよりもCPU処理性能を重視する通常のRyzenよりもCINEBENCHのスコアは低くなるが、それでも最近流行りのゲーム機型PCなどに採用されているモバイル向けのCPUよりは、マルチコアで100ほどスコアが高い。
ともすれば、より小型のベアボーンであるNUCよりも、デスクトップCPUを搭載できるというアドバンテージを活かし、普段使いでより高い性能が出せる証左となり得る。
全体的にスコアが向上し、総合スコアは7000超え
総合ベンチマークの定番ソフトである「PCMark 10」でのスコアもチェック。このベンチマークは、なんらかのシステムエラーで「Ryzen 7 PRO 4750G」では起動しなかったので、以前計測したデータを参考値として表示する。そのため、DeskMini X300のスコアは参考値として欲しい。

旧来の「Ryzen 7 PRO 4750G」では総合スコアが5804と6000にも届かないところ、「Ryzen 5 8600G」搭載のDeskMini X600は7000超えと500以上は高いスコアを示している。
最近のモバイル向けRyzen 7プロセッサが総合スコア6500前後なので、Ryzen 5であってもRyzen 8000Gプロセッサは、ハイエンドなビジネスノートPCよりは高いCPU処理能力があると期待できる。
各項目のスコアをみても、概ねすべてが2000以上向上しており、マルチコア性能や内蔵GPU性能など、なにか1つが特別性能が向上したというよりは、全体的に性能向上が図られているようだ。
従来機よりも約1.8~1.9倍ものGPU性能を示した
では、ゲーム性能に直結するGPU性能はどうか。定番の「3DMark」でスコアを確認したい。

「Ryzen 5 8600G」の3DMarkのスコアは、「Ryzen 7 PRO 4750G」より約1.8~1.9倍ほどとほぼ倍。内蔵GPUがRDNA 3になったことで、GPU性能は大幅に向上している。しかし、この性能に関しては、たとえば最近流行りのゲーム機型PCの「ROG Ally」が搭載するAMD「Ryzen Z1 Extreme」よりも若干低い。
「Ryzen Z1 Extreme」のGPUコアは12コアあるため、その差と思われる。より上位のRyzen 7 8700GであればFire Strikeのスコアで7800(メモリクロックなどにもよる)を超えてくるので、PCゲームをさらに快適にプレイしたい人には、Ryzen 7 8700Gをオススメしたい。
ドラゴンクエスト10はフルHDなら「すごく快適」評価
今度は軽いPCゲームのベンチマークソフトとして古くから使われる『ドラゴンクエスト10』ベンチマークを使ってみたい。解像度は3840×2160ドットの4Kのみとし、画質は「最高品質」、フルスクリーンにて計測した。

軽いPCゲームのベンチマークとはいえ、やはり4Kの高解像度だとスコアは低め。とはいえ、「Ryzen 7 PRO 4750G」搭載のDeskMini X300がスコアが2570で「やや重い」評価のところ、「Ryzen 5 8600G」搭載のDeskMini X600ではスコア3574の「普通」評価。
試しに解像度を1920×1080ドットにしてみたらスコア10525の「すごく快適」評価になった。

そのため、軽いPCゲームであれば解像度が1920×1080ドットのフルHDなら、快適にプレイできる性能を有している。
FF14: 黄金のレガシーはHD画質で「快適」評価
では、ややより重いPCゲームではどうだろうか。そこで、2024年7月2日に最新拡張パック「黄金のレガシー」を発売する予定の『ファイナルファンタジーXIV』のベンチマークソフトでもスコアを計測してみた。
『ファイナルファンタジーXIV』のベンチマークソフトは、「暁月のフィナーレ」の時までは指標を見直した以外、大きな変化はなかった。しかし、「黄金のレガシー」では多少の画質の向上が予定されており、推奨環境も少し高くなった。
また、NVIDIA DLSSやAMD FidelityFX Super Resolution(FSR)といったアップスケーリング機能にも対応した。そこで、画質は「標準品質(デスクトップPC)」にし、AMD FSR「60fpsを下回った時に適用」で計測した。

「Ryzen 7 PRO 4750G」は1280×720ドットのHD画質で、なんとか5623の「普通」評価。一方で、「Ryzen 5 8600G」搭載のDeskMini X600は、1920×1080ドットで6102の「やや快適」評価、1280×720ドットで8242の「快適」評価となった。
実際のフレームレートはスコア8242の時で、平均59.7fps、最低37fpsだったため、60fps近い動作でプレイするなら、HD画質でプレイするのが無難といったところだ。
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