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アップデートで性能が150%向上は真実か!?Wi-Fi 7対応でゲーム機型PCでは最高峰「MSI Claw A1M」の性能レビュー

GPU性能は現状最強クラスに

 まずは定番のCPUベンチソフトであるCINEBENCHを使って、CPUの性能をチェックしていく。筆者は世界初のゲーム機型PCであるGPD WINを購入し、その後の製品も一部を除き自分で計測した経験があるため、その過去のデータと比較するため、あえて古いCPUの計測にも対応する「CINEBENCH R20」をまず使用した。

 CINEBENCH R20のスコアは、コア数で勝るClaw A1Mよりも、Zen 4 アーキテクチャーの最新Ryzenを搭載するONEXFLYやROG Allyの方がより高いシングルスレッド性能とマルチスレッド性能を発揮した。

 近年のインテル製CPUは、性能が同じコアのみで構成されたAMD Ryzenプロセッサーと異なり、性能重視のPコアと、省電力重視のEコアの2種類のコアを備える。加えて、Core Ultraはより消費電力の低い「LP Eコア」を搭載する。そうした、省電力コアがあることにより、コア搭載総数ほど高い性能が出せていない可能性がある。

 しかしながら、1世代前のRyzen 7には勝っているので、決っして低い性能ではない。Core Ultraが謳う、省電力化がゲーム機型PCの抱える弱点であるバッテリー駆動時間の長さに繋がっていることに期待したい。

 ちなみに、最新のCINEBENCH R24の結果は以下のとおり。

 シングルスレッド性能は、前にネットで見たBIOSアップデート前の数値と変わらない。マルチスレッドはやや高いので、少し性能が向上しているようだ。

 次に定番総合ベンチマークソフトのPCMark 10で性能を計測。たまたま同時期に計測していたONEXFLYと、株式会社天空様に長期貸し出しで借りている初期のAMD版ONEXPLAYER、私物のROG Allyと比較した。

 ほぼ最新Ryzen搭載機とスコアは同じだが、ROG Allyが先ほどのCPU性能分なのか、わずかに高いスコアを示している。

 ゲームの性能に重要なGPUの性能は、定番の3DMarkで計測。

 3DMarkではDirectX11ベースのFireStrikeだとわずかに最新Ryzen搭載機種に負けているが、DirectX12ベースのTimeSpyでは、ややスコアで勝った。

 では、実ゲームのベンチマークソフトではどうだろうか。まずはCINEBENCH R20の時と同じように、筆者がこれまで計測してきた旧製品と同じ条件で、性能の低いPCでの計測に定評のある『ドラゴンクエスト10』ベンチマークを使用。

 古い機種では、解像度が1920×1080ドットもなかったので、1280×720ドットと条件を揃え、画質は「標準品質」で計測した。

 結果は他の機種を圧倒的に置き去りにする1万8570というスコアを叩き出した。このスコアはROG Allyの1.3倍以上となる。ただし、良く見るとCore i7-1165G7を搭載するGPD WIN3が2番目にスコアが高い。

 Claw A1Mが採用するCore Ultra 7 155Hは、インテルの最新GPU、Intel Arc graphicsを搭載する。ひと昔前のインテル製CPUは、高性能なIntel Iris Xe Graphicsと、性能の低いIntel UHD Graphicsを備えていた。

 GPD WIN3が採用したCore i7-1165G7は、高いCPU性能に加えIris Xe Graphicsを搭載しているのもあるが、このベンチマークソフトがインテル製との相性が良いため、AMD Ryzenプロセッサー搭載機よりも高いスコアを出しているものと思われる。

 ちなみに、Claw A1Mは解像度が1920×1080ドットで、画質が最高品質でも以下のようにスコアが1万7730と変わらず高いスコアを出した。

 では、デスクトップPCでも良く使われる定番の『ファイナルファンタジーXIV』のベンチマークソフトではどうだろうか。記事執筆時には、2024年7月2日発売予定の最新拡張パック「黄金のレガシー」のベンチマークソフトが解禁されていたが、旧機種との比較ができないので、あえて「暁月のフィナーレ」にてスコアを計測した。

 このベンチマークソフトでも『ドラゴンクエスト10』と同じように、Claw A1MがROG Allyよりも1.5倍も高いスコアを示した。AMD Ryzenプロセッサーが搭載するRadeon Graphicsは、NVIDIA製のGPUに比べて本ベンチマークソフトではスコアが低く出る傾向にあるが、Intel Arc graphicsのアップデートにより、ここでも負けを喫する結果となった。

 ストレージの性能も見ておきたい。MSIは先日、世界でも定番のストレージの健康状態を確認できるソフト「CrystalDiskInfo」と、ストレージの性能を計測するソフト「CrystalDiskMark」の美星メイ」特別コラボレーションデザイン『MSI Mei Mihoshi Edition』を2024年4月30日に配信したばかり。

参考記事:https://leveluplogy.jp/archives/2457

 そのため、その特別コラボエディションの「CrystalDiskInfo」を使い、まずはどこのメーカー製のストレージかを確認してみた。

 ストレージはType-2230という、一般的なType-2280よりも小さい、ROG AllyやSteam Deckが採用しているものと同じサイズのKIOXIA製M.2 SSD「KBG40ZNS1T02」を搭載している。公称のシーケンシャルリードは3500MB/s、シーケンシャルライトが2900MB/s。

 では、実際の性能はどうなのか、「CrystalDiskMark」で計測してみた。

 ほぼ公称値どおりの速度を計測。PCIe 4.0×4なのはROG Allyが採用していた「Micron 2400」と同じだが、シーケンシャルリードはROG Allyの計測速度より800MB/sほど遅かった。しかし、シーケンシャルライトは逆に1100MB/sほど速い。

 体感速度的にはROG Allyとほぼ変わらないのではないだろうか。少なくともPCIe 3.0接続のSteam Deckよりは大分高速だ。

 インテルが謳うCore Ultraプロセッサーの消費電力の低さは、バッテリー駆動時間にどう影響を与えるのかが気になるので、往年のバッテリー計測ソフト「BBench」にて、バッテリーの持ちを計測した。

ディスプレイの輝度は50%にして、バッテリーが切れるまで動作させて測定した

 結果は上記のとおり。ROG Allyが採用するRyzen Z1 Extremeは、4nmプロセスルール。一方で、Core Ultra 7 155Hは7nmプロセスルール、もちろんいろんな要素が異なるので、一概にプロセスシュリンクだけでどちらが優秀ということもないが、AMD Ryzenプロセッサーも高い省電力を謳っている。

  ROG Allyの方が公称のバッテリー容量が大きいことを差し引いても、この結果だけを見ればClaw A1Mの方がバッテリーの持ちは良くないようだ。

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