文●松野将太 編集●ハッチ

ASUSは4月19日、新たな自作PCパーツのシリーズとして「ASUS Back to the Future」(以下、BTF)を発表した。
同シリーズは、デスクトップPCを組み立てる際に配線をケース裏面へ逃がす処理、いわゆる「裏配線」の概念をさらに一歩進め、”そもそもケース内の配線をほぼすべて裏面だけで処理する”ために設計されたパーツ群となる。
シンプルかつ洗練されたレイアウトを志向する自作PCユーザーにとって、非常に魅力的なプロダクトと言えそうだ。
この記事では、発表に先駆けて実施された発表会の様子をレポートする。
BTFシリーズ11モデルをラインアップ!


今回発表されたBTFシリーズの製品はいずれもマザーボード・ビデオカード・PCケースで、発売中のPCケース2製品を含めた計11モデルをラインアップする。
パフォーマンス面では従来のモデルと大きく変わらないものの、マザーボードであれば「配線コネクタすべて、あるいは大部分を裏面に配置している」、PCケースなら「BTFマザーボードの背面コネクタを露出させるための専用ホールを用意する」。
ビデオカードなら「補助電源コネクタを不要にするため、600Wまで電力供給可能な独自コネクタ『GC-HPWR Gold Finger』を採用する」など、いずれも従来の製品とはまったく異なる特徴を備えている。



これらの製品を組み合わせることで、CPUクーラーのコネクターなどごく一部の配線を除き、ほぼすべての配線処理を背面側のみで完結させられるのが同シリーズの最大のメリットと言える。
なお、シリーズ名は著名な映画タイトルを想起させるが、「自作PCの配線を未来に進めるのはBack(裏面)である」といったニュアンスが込められているようだ。

これまでの自作PC向けパーツとは異なる特性を備えている都合上、従来ケースではコネクタが隠れてしまうBTFシリーズのマザーボードに関しては、基本的に対応PCケース以外では利用できない。
また、専用コネクタを備えるビデオカードも、Graphics Card High-Power slotを配置しているマザーボード以外とは組み合わせ不可となる。例外として、PCケースだけは従来のパーツとも互換性が確保されている。

今後は他メーカーとも協力し、BTFシリーズのラインアップ拡充を目指す「BTF ALLIANCE」を推進していくとのこと。現時点での協力メーカーとしてはCORSAIR、Cooler Master、In Winといった著名メーカーが挙げられている。
マザーボードは一部を除きコネクタを裏面に配置




初のBTF対応マザーボードは、ROGブランドから「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」1製品、TUF GAMINGシリーズから「TUF GAMING Z790-BTF WIFI」「TUF GAMING B760M-BTF WIFI」「TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4」3製品の合計4モデル。
「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」および「TUF GAMING Z790-BTF WIFI」はCPUファンコネクタ1基のみが表側に用意されているが、それ以外はすべての配線コネクタを裏面に配置しており、非常にスマートな外観が特徴。この2モデルはGraphics Card High-Power slotを搭載するため、BTF対応ビデオカードの装着が可能だ。


MicroATXフォームファクターの「TUF GAMING B760M-BTF WIFI」「TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4」に至っては、全てのコネクタが背面にまとめられている。反面、いわゆる下位モデルということで、Graphics Card High-Power slotは非搭載となっている(従来のBTF非対応ビデオカードは取り付け可能)。
「CPUやメモリーの組み込み時に背面のコネクタやピンを傷つけてしまうのでは?」という懸念に関しては、担当者曰く、「BTFシリーズのマザーボードはパッケージ内にかなり厚みのある梱包材が使用されており、その上で作業をしていただく想定になっている」とのこと。
基本的には梱包材の上でパーツを組みこんでから、そのままケースに装着するような手順が想定されているという。
発表会で公開された想定売価は「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」が10万9800円、「TUF GAMING Z790-BTF WIFI」が4万6980円、「TUF GAMING B760M-BTF WIFI」が3万2980円、「TUF GAMING B760M-BTF WIFI D4」が3万980円。
こちらは為替の影響により、実際の発売時と異なる場合があるとのことだ。いずれも4月26日から販売開始予定。
ビデオカードは600Wまでの電力供給に対応する独自コネクタを採用

ビデオカードは、RTX 4070 Ti SUPERを搭載する「TUF-RTX4070TIS-O16G-BTF-WHITE」、RTX 4090を搭載する「ROG-STRIX-RTX4090-O24G-BTF-GAMING」の2モデル。
どちらの製品も基板の端に600Wまでの電力供給に対応する独自コネクタ「GC-HPWR Gold Finger」を採用しており、従来型の補助電源コネクタ類を一切搭載しないのが最大の特徴。
現時点では「ROG MAXIMUS Z790 HERO BTF」あるいは「TUF GAMING Z790-BTF WIFI」の2モデルいずれかとしか組み合わせられないため、製品選びの際は注意が必要だ。
発表会で公開された想定売価は「TUF-RTX4070TIS-O16G-BTF-WHITE」が18万5980円、「ROG-STRIX-RTX4090-O24G-BTF-GAMING」が41万3800円。いずれも4月26日から販売開始予定。
PCケースは背面コネクタを露出させるためのホールを備える


BTF対応のPCケースは、簡単に言えば「BTFマザーボードの背面コネクタを露出させるためのホールがある」PCケースであり、それ以外の基本的な設計は従来のPCケースと大きく変わらない。従来のPCパーツとは完全な互換性があるため、BTF対応である「A21 ASUS CASE Black」「A21 ASUS CASE White」は先行して販売されている。
今回あらたに発表されたのは「TUF GAMING GT302 ARGB Black」「TUF GAMING GT302 ARGB White」「ROG Hyperion GR701 BTF EDITION」の3モデル。想定売価と発売日は「TUF GAMING GT302 ARGB Black」「TUF GAMING GT302 ARGB White」が2万2350円で4月26日発売予定、「ROG Hyperion GR701 BTF EDITION」が7万9800円で5月発売予定だ。
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